29精密検査のため一時帰国

 交通事故のあと、そのまま医療調整員宅で療養することとなり数日滞在しその後自宅へ戻った。最初は歩くのが非常に困難な状態だったが、日が経つにつれなんとか足が前に出るようになった。そして4日目か5日目にはゆっくりであるが問題なく歩けるようになった。

 事故の際、右顔面を強打し、右目の周囲等を縫合したキズも問題なく治癒しつつあった。1週間もすれば自由に行動が出来るようになったが、強打した顔面は違和感が残り、首が少し痛かった。

 このような状況下、何度か精密検査受診の話をJICA事務所長へしたと思う。こういう話をこちらからしなくてはならないことさえ何か釈然としなかった。しかし、もう大丈夫だろうと言う一言で片付けられてしまっていた。

 このような状態が数ヶ月続いたが、何ら進展は見られなく、このままでは、蔑ろにされ精密検査受診は出来ないだろうと判断、と同時に憤りを感じぜずにはいられなかったというのが正直な気持ちだったと思う。

 しからば、どうすれば良いかと考えた挙句、最終的に本部事務局へお願いするしかないとそのときは考えた。しかも、中途半端な相手では握りつぶされてしまう可能性も考え、事務局長宛、精密検査受診申請の手紙を書くことにした。あくまで、客観的に受診の必要性を訴えた。

 手紙が事務局長に届いてから直ぐにアクションがあった。Y所長が私を呼び出したからである。事故から既に3ヶ月が経とうとしていた。睨むようなと表情で怒りを露骨に表しながら一時帰国の手続きが取られ、私は数日後パリ経由で帰国した。

 こういう方法は取りたくなかったが、取らざるを得ない状況に追い込まれていたことは否定できない。Y所長のような人はこの世の中どこにでもいると思うが、その立場上彼の考え方はいわゆる事なかれ主義であり、不適格だと感じるに充分であった。

 推測の域を出ないが、私の事故の前にもいくつか交通事故があり(前述のとおり)できるだけ本部には報告したくなかったのではないかと思う。残念なことだ。


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